買取のほうが下取よりも金額的に有利になりやすい
下取と買取の違いは、業者の側から見て、「販売」がセットになるか否かという点です。販売がセットとなる場合は「下取」、販売が伴わない場合は「買取」となります。しかし、下取と買取は、これ以外にも違いがあります。それは、肝心要となる金額面での話です。
査定額に違いが出る可能性がある
実は、下取と買取とでは、査定額にも違いが出る可能性があります。まず、下取の場合は、「購入」と「売却」という2つの商取引が同時におこなわれることになります。
1つの業者で2つの商取引が完結できて便利な上に、もし「最大限可能な販売値引き額」と「最大限可能な下取額」を提示してくれるのであれば、ユーザーにとっては非常に嬉しい話です。しかし、現実には下取の場合、最大限に有利な金額が提示される可能性が低いのです。
なぜならば、2つの商取引を抱き合わせて金額計算をすることになるため、業者にとっては「価格調整」がしやすくなるためです。
下取は「価格調整」に引っ掛かりやすい
たとえば、業者から「購入値引き20万円」「下取額10万円」を提示されたとします。そうすると、両方で30万円分の得をしたように錯覚しがちです。しかし、別々の業者で、別々の商取引として価格交渉する場合、「購入値引き30万円」「買取額20万円」を提示される可能性もあるのです。
これは、下取という商取引の利用に際し、ユーザーが意識しているかいないかにかかわらず、「別の業者に会って売却交渉しないといけないのは面倒」という深層心理があるのを逆手に取ることで、業者側のペースに持ちこまれやすいのが原因です。
つまり、業者から見れば、販売に伴って下取という「オマケ」が半ば自動的についてくるわけで、金額的に多少の「手抜き」をしようが、客は契約するだろうと見込むわけです。
業者は「今回は下取キャンペーンを併用し、目一杯の値引きと下取額を提示させていただきました!」などと言いやすいものですし、ユーザーも「購入と売却がセットだから、有利な条件を提示してくれたのだろう」と勝手に思い込みやすくなります。
それに、念のために他社の買取額をいちいち調べるのも面倒ですし、それをすることで目の前のセールスマンの機嫌を損ねるのも角が立つと考えますから、意外にあっさりと契約してしまいやすいのです。
買取のほうが「真剣勝負」になりやすい
一方、自動車の購入に伴って、これまで所有していた自動車を、下取を利用せずに、買取業者など別の業者に売却する場合、販売する業者は、「頑張った値引額」を提示して客を納得させる必要がありますし、買い取る業者も、「頑張った買取額」を提示し客を納得させる必要があります。
つまり、下取の場合のように、抱き合わせで販売と下取が同時にできることによる、「価格調整」のしようがありません。それぞれの業者が「真剣勝負」で客を満足させる必要があります。
結論
以上、心理的な観点での違いをお話ししましたが、傾向としては下取よりも買取のほうが、有利な売却額を引き出せる可能性が強いと言えます。ですので、自動車を売却する際には、下取を利用する場合でもそうでない場合でも、必ず買取専門業者の査定を受けてみたほうがいいでしょう。
とくに、下取の場合、手間が掛からないというメリットに目が奪われがちですが、手間が省ける分、金銭的に損をする可能性があるということは、ぜひ知っておくべきだと言えます。