車買取専門店が支持を拡大できた理由
車買取業者は、今日では全国に数えきれないほどの店舗数があり、すっかりおなじみの存在になっています。その歴史は意外に浅く、最初に誕生した車買取専門店は、1989年に愛知県で事業を開始したアップルだと言われています。その後は、1994年にガリバー、2000年にT-UPが登場するなど、買取ブランドが続々と誕生し、それぞれが競い合うように店舗数を拡大していきました。
車買取専門店は、車をユーザーに販売するのではなく、買取のみをおこなうという、これまでにない特徴を持った新業態ですが、単に新業態という物珍しさだけで店舗数を拡大しユーザーの支持を広げてきたわけではありません。
車買取専門店は、中古車オークション(中古車専門の卸売市場)をうまく活用することにより、これまでにない高値買取を実現したからこそ、ユーザーから高い支持を受け、規模をどんどん拡大することに成功したのです。
高値買取の理由
では、中古車オークションをどのように活用して、高値買取を実現したのでしょうか。従来の中古車販売店やディーラーが車を買い取る場合、減価償却方式に基づく概念でつくられた「基本価格表」や「査定ガイドブック」などを参考に値決めをすることが一般的でした。
そのため、新車から数年程度乗った中古車は価値が大幅に低下する傾向があり、買い取る価格は低くなりがちでしたし、むしろ、それにあぐらをかいて安く買い叩き、大きな利ザヤを稼いでいたとも言えます。
一方、車買取専門店の場合、従来型の減価償却ベースの値決め方法ではなく、中古車オークションに出品した場合に落札されるであろう価格(オークション落札相場)を事前に予想し、その金額から自社の利益や経費分を差し引いた金額を提示するという「相場連動型」の値決めをおこなうことで、従来よりも高い買取金額を提示するようにしました。
それに加えて、車買取に特化することにより、店頭販売を前提としたショールームや販売スタッフが不要となるため、経費を低く抑えられるという点も高値買取につながりました。このような理由から、車買取専門店は支持を拡大することができたのです。